情報漏洩の事故事例とセキュリティ対策サービスの比較

運営:ヒバチ株式会社

掲載事業者数9社

事故DB掲載46件

無料で一括見積もり

SCS評価制度の要求事項4-1-7「アクセス権の管理ルール」とは:申請・承認制、必要な範囲への限定、棚卸し、台帳

この記事のまとめ

要求事項4-1-7は、システムやパソコン、機密上の配慮が必要な部屋に、誰がどこまで入れるかを決めるルールの項目で、★3から求められます。★3の評価基準は1つで、発行・変更・削除を申請・承認制にする、範囲を必要な範囲に限る、棚卸しのやり方を定める、申請書か台帳で管理する、の4点です。年1回以上の棚卸しの実施は★4からです。

4-1-7は何を求めているか:評価基準6項目の中身

要求事項4-1-7の原文は、「アクセス権の管理ルールを定めること。」の1文です。何をすれば満たしたことになるかは、6つの評価基準に分けて書かれています( ★3・★4 要求事項・評価基準 、経済産業省・IPA、2026年3月27日版)。

★3の段階から求められるのは1項目で、★4で5項目が加わります。★3の1項目は、4つの内容をまとめて定める形になっています。内容を要約すると次のとおりです。

番号

★

何を決める項目か

評価基準の内容(要約)

4-1-7-1

★3

管理ルール

システムとパソコンへのログオン(利用開始時の認証)時のアクセス権と、機密上の配慮が必要な場所・部屋への入室について、管理ルールを定める。内容は、発行・変更・削除は申請・承認制、権限の範囲は必要な範囲に限定、棚卸しについて定める、申請書または台帳を管理する、の4点

4-1-7-2

★4

棚卸しの実施

年1回以上、役員、従業員、派遣社員、受入出向者に付与したアクセス権の棚卸しを実施する

4-1-7-3

★4

付与の条件

重要な機密情報を扱うシステムは、アクセス権を付与するための条件を定める

4-1-7-4

★4

システム管理者の要件

重要な機密情報を扱うシステムは、アクセス権を設定するシステム管理者の要件と設定手順を定める

4-1-7-5

★4

必要最小限の権限

重要な機密情報を扱うシステムは、ユーザと管理者ごとに必要最小限の権限を付与し、個人に権限が集中しない環境にする

4-1-7-6

★4

利用状況の監視

重要な機密情報を扱うシステムは、付与したアクセス権の運用・利用状況を監視する仕組みを整える

大分類「攻撃等の防御」の中分類「アイデンティティ管理、認証、アクセス制御」に含まれます。★3と★4の違い、取引先に何を確認するかは SCS評価制度とは にまとめています。

最初にやること

  1. 業務システムと、鍵のかかる部屋を洗い出す
  2. 権限の申請書(申請者、承認者、範囲)を1枚決める
  3. 今の権限を台帳に書き出す

この項目で用意するもの(★3)

4-1-7で用意するものは、ルールの文書と台帳の2つです。

  • 文書:アクセス権の管理ルール。申請・承認制、必要な範囲への限定、棚卸しのやり方の3つを書く(4-1-7-1(管理ルール))
  • 台帳:アクセス権と入室許可の申請書、または台帳。誰に、どのシステム・部屋への権限を、いつ与えたかを残す(4-1-7-1)

ユーザIDの発行・削除そのものは、別の要求事項4-1-1(ユーザIDの管理手続)です。4-1-7は、IDに与える権限の範囲と、その管理の仕方を決める項目です(編集部の整理)。詳しくは 4-1-1の記事 にあります。

落とし穴1:棚卸しを「定める」のは★3、「実施する」のは★4

4-1-7-1(管理ルール)が★3で求めているのは、入室権限とアクセス権の棚卸しについて「定めていること」です。年1回以上の棚卸しを「実施すること」は、4-1-7-2(棚卸しの実施)で、★4から求められます。

★3だけを目指す場合も、棚卸しのやり方は文書に書きます。いつ、誰が、何を見るかを決めておけば、★4に進むときに実施の記録を足すだけで済みます(編集部の整理)。

落とし穴2:対象は、システムだけでなく部屋も含む

4-1-7-1は、システムとパソコンへのログオンに加えて、「機密上の配慮が必要な場所及び部屋への入室」も対象にしています。

サーバ室や書類の保管庫など、鍵やカードで入る場所があるなら、入室許可も同じ台帳に書きます。申請・承認制、必要な範囲への限定、棚卸しの考え方は、システムのアクセス権と同じです。

落とし穴3:「必要な範囲に限定」は、設計の段階で崩れる

4-1-7-1(管理ルール)は、与える権限の範囲を必要な範囲に限ることを求めています。個人への付与だけでなく、システムの作りそのものが範囲を決めます。

関西電力送配電 では、電力自由化に伴うシステム改修での設計の見落としにより、新電力の顧客情報を、関西電力の社員などが閲覧できる状態になっていました。契約名義、電話番号、使用量などが閲覧されています。

同じ業務なら、グループ会社や委託先の人が、どのデータを見られる設定になっているかを確かめます。台帳には、人ごとの権限だけでなく、見せてはいけないデータの区分も書いておくと、設計や改修のときに見落としにくくなります(編集部の整理)。

進め方(30人規模の記入例)

編集部の記入例です。システム名と部屋は、自社のものに置き換えます。

  1. 対象を洗い出す。業務システム、ファイルサーバ、クラウドサービス、サーバ室、書類の保管庫
  2. 権限の申請書を決める。申請者、承認者、権限の範囲、期間を書く
  3. 台帳を1枚作り、今の権限を書き出す
  4. 棚卸しのやり方を決める。毎年4月に、台帳と実際の設定を見比べる

対象

利用者

権限の範囲

承認者

付与日

棚卸し日

会計システム

経理担当3名

入力と閲覧(承認機能は含まない)

経理部長

2026年4月

毎年4月

サーバ室

総務担当、IT保守会社

総務担当は常時、保守会社は作業日のみ

総務部長

2026年4月

毎年4月

★4で加わること

  • 4-1-7-2(棚卸しの実施):年1回以上、役員、従業員、派遣社員、受入出向者に付与したアクセス権の棚卸しを実施する
  • 4-1-7-3(付与の条件)、4-1-7-4(システム管理者の要件):重要な機密情報を扱うシステムは、付与の条件と、システム管理者の要件・設定手順を定める
  • 4-1-7-5(必要最小限の権限):ユーザと管理者ごとに必要最小限の権限を付与し、個人に権限が集中しない環境にする
  • 4-1-7-6(利用状況の監視):付与したアクセス権の運用・利用状況を監視する仕組みを整える

権限が集中した人の持ち出しは、実際の事故にもなっています。 NTT西日本グループ では、NTTビジネスソリューションズの元派遣社員が、業務で扱う顧客情報を不正に持ち出して流出させました。

公表されている再発防止策には、特権アカウント(システムの設定を変えられる強い権限)を持つ長期配置者の異動と権限の削除、普段と違う操作を見つける検知による監視、委託先への立入点検が含まれます。

自社なら、システム管理者の操作を、誰がどう見ているかを確かめます。

よくある質問

アクセス権の棚卸しは、★3で実施が必要ですか?
★3で求められるのは、棚卸しについて定めておくことです(4-1-7-1)。年1回以上の棚卸しの実施は、★4で加わります(4-1-7-2)。
部屋への入室も、アクセス権の管理に含めますか?
含めます。4-1-7-1は、機密上の配慮が必要な場所および部屋への入室も、同じ管理ルールの対象にしています。
台帳は、どこまで書けばよいですか?
評価基準は、与えた入室許可・アクセス権の申請書または台帳を管理していることを求めています(4-1-7-1)。誰に、どのシステム・部屋の権限を、いつ与えたかが分かる形にします(編集部の整理)。
ユーザIDの発行や削除は、この項目の対象ですか?
いいえ。IDの付与・変更・削除の手続は、別の要求事項4-1-1(ユーザIDの管理手続)です。4-1-7は、与える権限の範囲とその管理を決めます。

SCS評価制度の一括見積もり(無料)

条件に合う事業者(最大3社)の見積もり・資料を、まとめて依頼できます。

一括見積もりを依頼する

SCS評価制度の準備を頼める先を比べる

出典

この記事について

ITセキュリティの窓編集部(運営:ヒバチ株式会社)が、公表資料をもとに作成しています。誤りに気づいた場合は修正し、更新日を記載します。

セキュリティ対策の一括見積もり(無料)