情報漏洩の事故事例とセキュリティ対策サービスの比較

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SCS評価制度の要求事項4-5-1「ネットワーク境界防護」とは:ルータ・ファイアウォールのパスワード、通信ルール、設定変更の認証

この記事のまとめ

要求事項4-5-1は、社内ネットワークとインターネットの境目にあるルータとファイアウォールを守る項目で、★3から求められます。初期の管理パスワードの変更(または遠隔操作の無効化)、外から入る通信の遮断とルールの整備、不要なルールの削除、設定をインターネット経由で変えるときの多要素認証か接続元の制限が中心です。

4-5-1は何を求めているか:評価基準9項目の中身

要求事項4-5-1の原文は、「ネットワークを適切に分離し、境界部分を防護すること。」の1文です。何をすれば満たしたことになるかは、9つの評価基準に分けて書かれています( ★3・★4 要求事項・評価基準 、経済産業省・IPA、2026年3月27日版)。

★3の段階から求められるのは7項目で、★4で2項目が加わります。ここでいう「境界」は、インターネットとの境目にあるルータ(社内とインターネットをつなぐ機器)と、通信を許可・遮断するファイアウォール(またはその機能を持つネットワーク機器)です。内容を要約すると次のとおりです。

番号

★

何を決める項目か

評価基準の内容(要約)

4-5-1-1

★3

管理パスワードの初期値

すべてのファイアウォールとルータで、初期の管理パスワードを強固で一意のものに変えるか、リモートアクセスを完全に無効にする

4-5-1-2

★3

パスワードの変更手順

ファイアウォールとルータのパスワードを変更する手順を定める

4-5-1-3

★3

認証の強さ

ファイアウォールとルータの認証は、4-1-5(パスワード設定ルール)の評価基準を満たす

4-5-1-4

★3

外から入る通信

認証されていないインバウンド(外から入る)通信を遮断する

4-5-1-5

★3

通信のルール

インバウンド通信に関するファイアウォール・ルールを定める

4-5-1-6

★3

不要なルールの削除

不要になったファイアウォール・ルールを、速やかに削除または無効にする

4-5-1-7

★3

設定変更の認証

ルールの変更をインターネット経由で行う場合は、多要素認証を使うか、信頼できるIPアドレス(通信相手を示す番号)からだけに制限する

4-5-1-8

★4

ソフトウェアファイアウォール

使っているOSが対応していない場合を除き、すべてのパソコンとサーバでソフトウェアファイアウォールを有効にする

4-5-1-9

★4

ネットワークの分離

社外に公開するサーバと、重要な機密情報を扱うサーバを、それぞれ専用のネットワークセグメント(ネットワークを区切った区画)に置き、内外のアクセスを必要最小限にする

9つは、機器そのものを守る(4-5-1-1、2、3)、通信の通し方を決める(4-5-1-4、5、6)、設定を変える手段を守る(4-5-1-7)、★4の追加(4-5-1-8、9)の4つに分けて考えると整理しやすくなります(編集部の整理)。

大分類「攻撃等の防御」の中分類「技術インフラのレジリエンス」に含まれます。★3と★4の違い、取引先に何を確認するかは SCS評価制度とは にまとめています。

最初にやること

  1. ルータとファイアウォール機能付きの機器を洗い出す(保守会社に聞くと早い)
  2. 初期パスワードのままの機器は、変更する
  3. 外から入る通信のルールを書き出し、理由の分からないものを保守会社に確認する

この項目で用意するもの(★3)

4-5-1で用意するものは、機器の一覧、通信ルールの一覧、手順書の3つです。

  • 一覧:ルータとファイアウォールの一覧。機器名、設置場所、管理者、管理パスワードを変えた日、リモートアクセスを使っているかを書く(4-5-1-1(管理パスワードの初期値))
  • 一覧:外から入る通信のルール。何のために開けたか、誰が決めたか、いつ見直したかを書く(4-5-1-5(通信のルール)、4-5-1-6(不要なルールの削除))
  • 文書:管理パスワードを変更する手順(4-5-1-2(パスワードの変更手順))と、設定をインターネット経由で変えるときの認証方法(4-5-1-7(設定変更の認証))

機器の一覧という形は評価基準に書かれていません。管理する機器を漏れなく押さえるための、編集部の整理です。

落とし穴1:初期パスワードのままでも、遠隔操作を完全に無効にすれば足りる

4-5-1-1(管理パスワードの初期値)は、初期の管理パスワードを変えるか、リモートアクセスを完全に無効にするか、どちらかを求めています。

「一意」は、機器ごとに別のパスワードにして、使い回さないという意味に読めます(編集部の読み方)。遠隔管理を使わない機器なら、無効にすれば足ります。ただし「完全に」とあるので、保守会社が遠隔から入る設定が残っていないかを確かめます。

境界の機器は、実際に侵入の入口になっています。 イセトー はVPN(社外から社内ネットワークに入るための接続)経由の不正アクセスで、情報処理センターと全国の営業拠点のサーバー・パソコンが暗号化され、再発防止策に「VPNの利用停止」と「認証の強化」を挙げました。

アサヒグループ は、グループ拠点のネットワーク機器から侵入されたと公表しています。

自社でも、境界の機器が最後にいつ更新されたかを確かめます。

落とし穴2:パスワードの強さは、4-1-5と同じ基準で測られる

4-5-1-3(認証の強さ)は、ファイアウォールとルータの認証が、4-1-5(パスワード設定ルール)の評価基準を満たすことを求めています。

4-1-5-3(文字数などの保護対策)では、多要素認証か「10回失敗したらロック」を使えば8文字以上、どちらもできなければ英大文字・小文字・数字を含めた10文字以上です。詳しくは 4-1-5の記事 にあります。

機器の管理画面に多要素認証も回数制限もない場合は、後者の10文字以上になります(編集部の読み方)。社内ルールには、機器ごとにどちらを使うかを書いておきます。

落とし穴3:設定を変える手段にも、認証の条件がある

4-5-1-7(設定変更の認証)は、ファイアウォールのルールをインターネット経由で変更する場合の条件です。多要素認証を使うか、信頼できるIPアドレスだけに制限します。

多要素認証(たとえば、パスワードに加えてスマートフォンへの確認通知を使う方法)は、4-1-3-3で示される認証要素(知識情報、所有情報、生体情報、その他の情報)から2種類以上を使う方法です。詳しくは 4-1-3の記事 にあります。事務所の中からだけ変更するなら、この条件は問われません(編集部の読み方)。

保守会社が自宅や外出先から遠隔で設定を変えている場合は、この項目が問われます。接続元のIPアドレスを保守会社の固定の接続元だけにするか、多要素認証を入れます。

進め方(30人規模の記入例)

編集部の記入例です。機器や会社名は、自社のものに置き換えます。

  1. ルータとファイアウォールを洗い出し、一覧表を作る。事務所のルータ、拠点のルータ、ファイアウォール機能付きの機器を含める
  2. 初期パスワードのままの機器は変更する(10文字以上、英大文字・小文字・数字を含め、機器ごとに別のものにする)。遠隔管理を使わない機器は無効にする
  3. 外から入る通信のルールを書き出す。目的が書けないルールは、保守会社に確認して、不要なら無効にする
  4. パスワードの変更手順を決める。変更する担当、保管場所、変えるきっかけ(担当者が代わったとき、漏えいの疑いがあるとき)を書く

通信ルールの一覧は、次のような形にします。

ルール

開けた目的

申請者

開けた日

不要になったら

保守会社(A社)からのVPN接続

サーバの遠隔保守

総務担当

2026年4月

保守契約の終了時に削除

受注システムへの取引先の接続

取引先B社の注文受け付け

営業部長

2025年10月

取引終了時に削除

一覧にあるルールを毎年見直し、不要なものを削除した日を残します。見直しの頻度は評価基準に書かれていないので、年1回などと自社で決めます(編集部の整理)。

★4で加わること

  • 4-5-1-8(ソフトウェアファイアウォール):使っているOSが対応していない場合を除き、すべてのパソコンとサーバでソフトウェアファイアウォールを有効にする
  • 4-5-1-9(ネットワークの分離):社外に公開するサーバと、重要な機密情報を扱うサーバを、それぞれ専用のネットワークセグメントに置き、内外のアクセスを必要最小限にする

よくある質問

ルータのパスワードは、買ったときのままでもよいですか?
いいえ。初期の管理パスワードを強固で一意のものに変えるか、リモートアクセスを完全に無効にします(4-5-1-1)。
事務所のルータも対象になりますか?
評価基準は「すべてのファイアウォール(又はファイアウォール機能を持つネットワーク機器)及びルータ」を対象にしています(4-5-1-1)。事務所のルータも含まれると読めます(編集部の読み方)。
ファイアウォールのルールは、何を決めればよいですか?
認証されていないインバウンド通信は遮断し(4-5-1-4)、インバウンド通信に関するルールを定め(4-5-1-5)、不要になったルールは速やかに削除または無効にします(4-5-1-6)。
設定をインターネット経由で変える場合は、何が必要ですか?
多要素認証を使うか、信頼できるIPアドレスだけに制限します(4-5-1-7)。
ソフトウェアファイアウォールや、ネットワークの分離は★3で必要ですか?
いいえ。どちらも★4で加わる項目です(4-5-1-8、4-5-1-9)。

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出典

この記事について

ITセキュリティの窓編集部(運営:ヒバチ株式会社)が、公表資料をもとに作成しています。誤りに気づいた場合は修正し、更新日を記載します。

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